労働問題Q&A
就業規則等
当社就業規則では、配偶者の出産の場合の特別休暇の規定があるのですが、内容があいまいなところがあって、従業員の姉妹の出産の場合であっても特別休暇を使うことが慣習化してしまっています。今度あいまいだった特別休暇の規定を作り直そうと考えているのですが、一部従業員から就業規則の不利益変更だとの意見がありました。就業規則を変更することはできるのでしょうか。 |
労使慣行が就業規則の解釈の基準となっているのか法的な拘束力を持っていないのかによって不利益変更できるかどうかのハードルが違うものと考えられます。今回は就業規則の内容が不明確でその解釈として労使慣行ができあがっているとの立場で考えてみますが、既に姉妹の出産の場合も特別休暇が付与されるといった労使慣行が現行の就業規則と一体となって効力があると思われます。そうすると、今回の就業規則の変更には労働契約法第10条に規定されているとおり、就業規則の変更によって労働者の不利益の程度、変更の必要性、変更された内容の妥当性等合理的であるかどうかを検討した上で就業規則変更の是非を検討していくことになりそうです。 |
当社の就業規則では勤務時間が9時から18時までの1時間休憩を規定されているのですが、実態は9時30分から18時30分までになっています。 就業規則と違った労使慣行がある場合、一体どちらを優先させるのでしょうか。 |
労使慣行とは、長い間反復・継続的に行われた慣行的事実をいいますが、当然には法的な効力はありません。とはいえ、労使慣行には労働関係において影響を及ぼす場合もありますので注意が必要です。また不明確な就業規則の内容を労使慣行により事実上運用されている場合、労使慣行が就業規則の解釈の基準となり労使双方を拘束する可能性があります。就業規則と実態が一致しない状態であれば、就業規則の内容を変更し、就業員に周知させるなどの手順をとったほうがいいでしょう。 |
常時10人以上の労働者を使用する使用者に就業規則の作成・届出義務があることはわかりましたが、当社の場合、正社員は5人、アルバイトと派遣社員全部を計算すると10人を以上になります。労働者の人数を計算するときにアルバイトや派遣社員も入れるのでしょうか。 |
労働者数を計算にあたり、正社員だけを計算するのではなく、アルバイトやパートタイマー、契約社員など雇用形態が違っていても、常時使用しているのであれば、あわせて計算することになります。この10人以上は、企業単位ではなく「事業所単位」で計算することになりますので、例えば、A支社9名・B支社9名の合計18名の企業であれば、就業規則の作成義務はないことになります。派遣労働者については、派遣元と派遣先のどちらで計算するのかですが、「派遣元」の労働者として計算します。 |
就業規則とは何ですか? |
就業規則とは、使用者が一方的に作成するもので、労働条件などについて定めた規則です。 |
就業規則がこれまでよりも不利に変更されてしまいました。こんなことが許されるんですか? |
基本的には、就業規則で不利益に変更することは許されません。ただし、変更の必要性が高く、また、変更の内容が合理的であれば、適法だと認められる可能性があります。 |
労働契約法ってどんな法律ですか? |
使用者と労働者の契約内容をどのようにして決めるか、という点について、ルールを定めた法律です。 |
労働契約法はどんな人に適用されるのですか? |
「労働者」と「使用者」に適用されます。「労働者」とは、使用者の指揮監督下で働き、対価として賃金をもらう人のことを指します。対照的なのは、仕事の完成の対価として金銭をもらうが、仕事の進め方などについては指示を受けずに自分で決定できる人のことで、これは「委任」や「請負」にあたります。 |
自分は契約社員としてトラック運転手をしていますが、労働契約法の適用はないのでしょうか? |
「労働者」性は、契約の形式的な種類ではなく、実質的に見て指揮監督下にあるかどうかで判断します。 |
労働契約を巡るトラブルにはどんなものがありますか? |
解雇、賃金カット、人事異動、業務内容や人間関係を巡るトラブルなどは、労働契約法で規律されます。 |
労働を巡るトラブルにあったら、どこに行けばいいですか?弁護士に頼むと、どんなことをしてもらえますか? |
労働紛争を解決するための機関としては、大きく分けて、行政と裁判所があります。このうち、行政には、①総合労働相談コーナー、②都道府県労働局長による助言・指導、③紛争調整委員会によるあっせんという制度があります。行政による解決は、基本的には当事者間での話し合いを促したり、行政機関から使用者への指導により、柔軟な解決を図るものであり、個人でも利用できます。これに対して、当事者間で意見が対立し折り合いがつかないような場合、解雇や賃金カットなど深刻なトラブルの場合などは、弁護士をつけて、裁判所の手続で解決を図られることをお勧めします。弁護士が受任することで、相手方との交渉が有利に進められる場合が多く、一方的に不利な条件で和解するということもなくなります。 |
労働契約の内容はどうやって決まりますか? |
基本的には労使間の個別的な合意に基づいて、決定されます。そのほかに、最低基準を定める労働基準法、就業規則、労働協約によっても決まります。 |
労働協約とは何ですか? |
労働協約とは、使用者と労働組合との合意事項を定めたものです。通常は組合員に効力が及びますが、4分の3以上の従業員で構成される労働組合が締結した協約については、組合員以外にも効力が及びます。 |
労働者との契約内容を変更したいのですが、どうすればいいですか? |
①個別の合意により変更する、②就業規則で変更する、③労働協約で変更する、という方法があります。②は、使用者が労働者の個別の合意を得ずにすることができますが、不利益に変更する場合には注意が必要です。(下記の質問を参照) |
労働協約がこれまでよりも不利に変更されてしまいました。自分も新しい協約に拘束されるんですか? |
労働協約での変更の場合は、原則として適法となります。ただし、特定の労働者のみに不利益が及ぶ場合や、内容が著しく不合理な場合には、効力が及ばない場合があります。 |
従業員が重要な企業秘密を外部に漏らしてしまいました。何か責任を問えないですか? |
その行為により会社に損害が生じていれば、秘密保持義務違反による損害賠償を請求できる可能性があります。また、行為態様や漏らされた秘密の重要度によっては、懲戒解雇もありうるところです。 |
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